開業・経営

コンセプトの作り方|開業するために必要な決め方の手順を解説

コンセプト設計

お店の開業をするために必須となるのがコンセプトづくりです。
ですがいきなりコンセプトを作るとなっても、どうやったらコンセプトをつくればいいのか、決め方もわからないという方もいると思います。
今回はコンセプトを作るためのコツとなる手順を紹介します。
コンセプトはお店のテーマや軸となる重要なものです。この記事でコンセプトの決め方の参考にしていただければと思います。

コンセプトについて

コンセプトは開業したお店の軸となるものです。意味としては


コンセプト(英:concept)とは、「概念」や「観念」のこと。conceive(心に抱く)の名詞形である。コンセプトを日本語として用いる場合には、全体を通して一貫した基本的構想という意味で使うことが多い。すなわち、コンセプトは単なる「目的」ではなく、終始一貫してブレることのない基本的な方向性を意味する。コンセプトは、物事に取り組む際の姿勢・方針・思想を表す。

新語時事用語辞典


意味としては上記の通りとなり例えとして
お客様に、あなたのお店をどういう風に見てもらいたいか、お客様にどんな価値を提供する店にしたいかといった。表面的でもあり根本的なテーマとなります。
開業するにあたり、開業する立地やお店の名前、内装の雰囲気などなど様々なことを決めていくにあたりこのコンセプトを軸に考える必要があるため
開業をするために最初に始める作業となります。

コンセプトをしっかり決めないと、開店後の運営方針や軸がないことでスタッフやお客様に対して価値を与えきることができず失敗することになります。ですがコンセプトさえ決まっていれば運営をするうえで迷うことなく店名からお店の雰囲気まで具体的に決めやすくなっていくため
開業をするための第一歩としてしっかりとコンセプトをしっかりと練って作っていきましょう。

コンセプトとアイデア

すでにこのページを見ている方ならすでにどんなお店を開業しよう等、決まっている方もいるのではないでしょうか?
こんな商品を売るお店にしたい。こんな雰囲気のお店にしたいなど漠然としたアイデアがあるはずです。
これはまだアイデアといったもので、開業するお店で提供するサービスや商品のことです。そこからコンセプトはお客様が店に訪れる理由を深く踏み込んだ理由を考えることです。

コンセプトの作り方の手順

  1. アイディア出し
  2. 一言で言えるキャッチフレーズを考える
  3. 具体的な店舗をイメージする
  4. ①~④を納得行くまで繰り返す

アイデア出し

コンセプトを作る上で最初にでてくるものはアイデアです。
アイデアからコンセプトは生まれてくるため、すでにアイデアがある場合でも複数アイデアを書き出してみましょう。


アイデアの出し方

  • 競合の情報
  • 取引先の情報
  • トレンドの情報
  • 市場の動向
  • あなたがほしいもの

一つの例となりますが、アイデアは様々な場面で落ちています。
アイデアになるので、突拍子のないものでも問題はありません。そこからブラッシュアップを繰り返しより良いコンセプトづくりに役立てていきます。

7W2Hを活用する

アイデアがどうしても上手く出てこないという場合は7W2Hを使ってみましょう。代表的な思考方となり5W1Hがありますが、より具体的にかんがえるために7W2Hを使うことでコンセプトとなる始まりをつかみやすくなるはずです。

7W2Hは

  • Why:なぜ
  • Where:どこで
  • What:何を?どんなメニュー・商品を
  • Who:誰が
  • Which:どれを
  • Whom:誰を
  • How:どんな風に提供するか
  • How much:いくらで

この7つを細分化して考えていくやり方です。

Why:なぜ

なぜはそのままの意味になりますが
考え方として
なぜあなたはお店を開業したいのか
なぜその商品を販売したいのか
なぜこの料理を提供したいのか

なぜ、なぜ、なぜ、、となるべく深堀りして考えていってみましょう。
このなぜを繰り返していくことで、あなたの根本となるものや、あなただけにしかない価値が見つかる可能性があります。

そのためなるべく突き詰めていくために、頭の中ではなく用紙やパソコンなどに書き込みをしながら深堀りをしていきましょう。

出店戦略の思考を深めるために使う5回のWHY法と同じ考え方です。

Where:どこで

開業はどこでするのか、開業はどこでできるのか
開業する街の特徴、その街ならどんな属性の人たちがくるのか。周りの競合はどんな子セプトでやっているのか、、など開業する場所がすでに決まっている、目星がついているなら、場所に合わせたコンセプト設計をするという手段もあります。


What:何を

あなたの店ではどんな商品や料理などをお客様に提供しますか?
商品のこだわりポイントは?他の競合にはないあなただけの店の強みとなる特徴・サービスは?
などあなたの店では何をお客様に提供ができるのか深堀りをしていきます。


Who:誰が

店舗を開業をする中で、競合がいるということは非常に多く、あなたの店だけにしかない商品、サービスを生み出すということは難しいということがあります。
ですが提供をすることができる人物はあなただけです。またはあなたが抱える従業員です。
それは他の店には提供ができないものになるため、これをヒントにコンセプトを見つけることができる可能性があります。


Which:どれを

あなたの店の代名詞となる商品・料理・メニューとなる顔となるメニューは決まっていますか?
大量のメニューを揃えるという手段もありますが、この店といえばこれ!と思わせるためにも、どの店にもまけないような武器となるものがあるお店が成功する可能性が高くなります。


Whom:誰を

あなたのお店に来てほしいお客様はどんな人ですか?
あなたのお店に来て喜んでほしい人のイメージをしてください。そうすることでコンセプトの鍵が見えくることもあります。

How:どんな風に提供するか

同じサービスの提供、同じ商品の提供の仕方でも
お店の雰囲気や提供の仕方で、お客様からの印象は大きく変わりますよね
例えば愛想ないお店で商品をうけとるより、愛想の良いお店で商品を受け取った方が気持ち良いですよね。

そして次も来店するならどっちのお店にいきたくなるかは明白です。
そして喜んでくれる人の特徴はどんな人になるのか
この部分からコンセプトを見つけるのも手段の一つになります。


How much:いくらで

あなたが開業するお店はいくらで商品を提供する予定ですか?
まずは競合店がどれくらいの金額で提供しているか見てみましょう。
そしてその競合の店はどんな特徴があるのかなど考えましょう。
自分の店はその競合より安く提供するべきなのか、それとも同価格帯にして付加価値を高くして競合に勝つのかなどコンセプトを考えます。

5W2Hを活用する場合

  • Why(なぜ?)
  • What(どんなメニューを?)
  • Who(誰に?)
  • Where(どこで?)
  • When(営業時間は?)
  • How(どのように提供する?)
  • How much(どのくらいの価格で?)

せっかく行うなら。7W2Hで考えるのをおすすめしますが5W2Hの考え方でも設計を行うことはできます。

一言で言えるキャッチフレーズを考える

アイデアが出し終わった後は、メモ書きでもかまわないので書き出しておきましょう。
そこからそのアイデアを組み合わせたり、削除したりしていきます。

そのアイデアはお客様があなたの店に競合と比較して来る理由になるのか

という事を一度立ち返って第三者目線で考えてみましょう。一人だけで考えるとどうしても偏りがでてしまうので、なるべく多くの人の意見を聴いてみることがおすすめです。

そしてアイデアが固まったら、スタッフからお客様にすっと頭に入るようなキャッチフレーズを作りましょう、
たくさんアイデアがあっても誰にも覚えられなければ意味がありません。

お客さんに一番に頭にいれてほしい、あなたの店の特徴、強みとなる言葉を作りましょう。
なるべくシンプルに覚えられるようにしてください。

具体的な店舗をイメージする

アイデアとキャッチフレーズまでできたら、店がオープンしたときのことを考えていきましょう。
詳細に分けて考えていくことで、自分のイメージ通りの店に近いのか、この店でうまくいくのかなどを考えます。そのためにコンセプトシートを使用して店の軸となるものをパーツごとに細分化させていきます。

コンセプトシートの作成

  • 立地・物件条件
  • ターゲット
  • ポジショニング・利用動機
  • サービス・オペレーション
  • メニュー
  • 店内外環境
  • 価格・支払い方法の設定
  • プロモーション
立地・物件条件

実店舗をオープンさせる場合、立地と物件は最も重要なポイントとなります。
交通量が多くアクセスの良い立地や、人流の多い立地に出店をすることが有利に働きやすい傾向にはありますが、その分賃料が高いことや、競合が多すぎるために失敗をするというケースもあります。
これはコンセプトによっても影響が出る部分にはなるので
立地や物件はプロに相談をしながら検討をするようにするようにしてください。

ここで決めることとしては、来ていただきたいお客様を想定しどうすればそのお客様が来店をしやすい位置になるか、どんなお客様がきてくれるようになればいいのか
それらを踏まえ考え抜いたうえで出店する地域を考えましょう。

ターゲットを決める(ペルソナ設定)

どんなお客様も来ていただける店にするという考えをもって始める方もいますが
なるべく具体的にターゲットは具体的に絞るようにしてください。
誰にでも愛される人がいないのと同様に誰にでも愛されるという店はありません。

このターゲットの設定はペルソナを作るとイメージがしやすいのでマーケティングでよく使われるペルソナを作ってみましょう。
このペルソナ設定を行うことでWEB広告を使って集客をするときにも非常に役立つ設定です。

ペルソナとは、あなたにとっての理想の顧客像です。ただその理想の顧客も実在する人間のイメージになるべく近づけ詳細にデモグラを行います。
それではペルソナの設定方法について解説をしていきます。

ペルソナの作成するための項目
  • 名前
  • 年齢
  • 性別
  • 職業
  • 収入
  • 学歴
  • 家族構成
  • 居住地
  • 性格(価値観・人生観)
  • 趣味
  • 余暇の過ごし方
  • 悩み
  • 使用するSNS
  • ネットリテラシー
  • 利用するWEBサイト・アプリ
  • 情報収集の方法
  • 買い物する場所
  • 習慣
  • 使っているスマートフォン・PC
  • 仕事の目標
  • 来店する時間

上記の項目をターゲットにしたい顧客イメージに沿って記載をしていきましょう。
このペルソナ設定を行ううえで、特定の人物をイメージすることで具体的に店舗を設定をすることで、イメージをしやすくなります。

リアルな人物を描くことで、来てほしい、狙いたいお客様がリアルに生まれます。

メリットとして、顧客の視点を獲得できるため、顧客理解を得ることによりサービスからコンセプトを絞ることができます。

高級な商品と一般的な商品は主にターゲットの収入が異なってきますよね。
ファミリー層を狙うべきなのか、富裕層を狙うべきなのかコンセプトマッチさせていくことが重要です。
あなたのお店のコンセプトに合うターゲットを決めていきましょう。


ポジショニングと利用動機

ポジショニングはブランディングを行う上でも欠かせない作業となります。

ポジショニングの基本としてSTP-4Pと呼ばれるマーケティングプロセスのターゲティング、セグメンテーション、4P(マーケティング・ミックス)をつなぐために必要となる作業となります。このポジショニングがふわふわしてしまうと、他の4Pに大きな影響を与えてしまうためポジショニングをしっかりと考えて決める必要があります。

ポジショニングの基本としては、ターゲットにしたい顧客にあなたのお店をどのように見せたいのか、どのように認知をさせていくためのものです。
陥りがちなことではありますが、競合他社よりも安くする、優れているようにしてポジショニングを確立させてしまう方が多くなります。確かに間違いではありませんが、それよりも重要なこととして「あなたのお店に対して、顧客が魅力的な店であると認識しているのか」ということが重要なポイントです。
これはお店側としては、店側の視点からの品質の追求をすることはしているところも多いのですが、消費者側から、どのようにあなたの店の価値を評価してもらっているのか?という視点が足りていないということです。ポジショニングは、マーケティングの方針を決定づける重要なポイントです。

ポジショニングを作るときは、戦略として特徴にしたいもの2つをピックアップして競合と比較をしてください。マップを作ってやると視覚化できて見やすいです。例えば飲食店なら「安い」「高級」「家族でこれる」「来店しやすい」「日本酒が美味しい」などなど特徴をあげることができます。
これらを作っていくことであなたのお店の特徴となるポジショニングを明確化させましょう。


サービスとオペレーション

どんなサービスをするのかオペレーションをするのかはコンセプトに会わせて作成を行いましょう。
来店しにきたお客様に対してどんな接客をするのか、どんなものを提供するのか
コミュニケーションの仕方など、サービスクオリティを上げるためのポイントとなり、スタッフを雇う際にも軸となるものです。

商品・メニュー

コンセプトにあった、商品・メニューを考えてみましょう。
あなたの店にしかないような独自の商品や定番となるメニューなどあなたの店の看板を考案してください。


店内外環境

店のコンセプトにあった内観、外観も来店してきたお客様に好印象をもってもらうために重要なポイントです。
こだわることで、あなたのイメージに合ったものは出来上がりはしますが、その分コストがかかってしまいます。この段階ではあくまで色あいなどのイメージでとどまって問題ありませんが
実際に店舗を工事することが決まったら
なるべくコストを抑えながら、コンセプトに沿ったものができるように業者と相談しながら進めるようにしましょう。


価格・支払い方法の設定

あなたのお店になるので、価格などはあなたで設定をすることができます。
お店のコンセプトに合わない価格設定にしてください。
その他に、現在はキャッシュレス化の流れもあるのでお客様が便利に買い物や支払いができるように多く使われることが想定される支払い方法ができるように、考えておきましょう。

集客方法

集客方法はあなたのお店をまだ知らない人たちに対し、あなたの店に来てもらうための手段です。
その方法は多岐に渡ります。
雑誌への掲載や。WEB広告、チラシ配布などなど
集客するためにつかう広告の画像等もあなたの店のコンセプトに沿いながら、あなたの店に来店することのメリットや魅力を伝えることができる方法を選び集客方法を固めましょう。

①~④を納得行くまで繰り返す

最後に出来上がったコンセプトを見返し、見落としや他の案があるか等見直しをしてください。
思った通りの形になることは難しい場合があります。
出店できる地域が変わってしまえば、コンセプトの変更をしなければならない可能性もあるため
コンセプトのストックの用意と、何度も繰り返し考え抜いてコンセプトのブラッシュアップを行ってください。

コンセプトの作り方のポイントまとめ

これらのポイントを意識してコンセプト設計を行ってください。
お客様は、なぜあなたの店にいくのか
お客様はあなたの店にいくメリットはなんなのか

お客様が抱えている問題、ニーズを見つけだし、それを解決するためにあなたの店は何を提供する店なのか。
そしてそのお客様の悩みは多くの人が抱えているものなのかと

コンセプトの例

最後に他の事業や会社で使われているコンセプトの例を紹介いたします。

飲食店コンセプト事例

最初に飲食店の開業を検討されている方向けに飲食店で使われているコンセプトの事例を紹介します。

ドミノピザのコンセプト

30分以内に熱々ピザを 自宅までお届け

ピザ屋の開業を検討される方などに参考にしていただければと思います。ドミノ・ピザは30分以内にピザを届けるというコンセプトのもとわかりやすく作成がされていますね。

俺のフレンチのコンセプト

高級食材を使った高級料理を 低価格で

スシローのコンセプト

「1人でも多くの人」に「うまいすしを腹一杯食べてもらう」

参考:スシロー公式サイト_企業理念

吉野家のコンセプト

うまい、やすい、はやい

スターバックスのコンセプト

「家庭や職場で良い自分を演じている人」が「家でも職場でもない第3の場所を得ることができる」コーヒーショップ

スターバックスコーヒー

スターバックスといえばカフェと同一なポジショニングの位置にいますが
圧倒的なブランディングを確立していますよね。
カフェの開業の検討されている方はご参考にください

バーのコンセプト事例

  • 理科の実験室のようなバー:インキュベータ
  • お坊さんに出会えるバー:坊主バー
  • プラネタリウムを楽しめるバー:プラネタリウム BAR
  • エアガンシューティングが楽しめるバー:Shooting Bar EA(エアー)
  • 探偵に会えるバー:探偵BAR「ANSWER」

バーの開業のコンセプトの参考にしてください。

居酒屋コンセプト事例

整体院・整骨院・マッサージ院コンセプト事例

整体院などは大きく他と差別化をすることはしにくい分野にはなりますが
整体院の開業をご検討されるかたは参考にしてください。

ジムのコンセプト事例

ライザップのコンセプト

「これまで痩せられなかった人」が確実に痩せられる企画

カーブス

女性だけの30分健康体操教室

サービスコンセプト事例

ディズニーランド

魔法の 国

USJのコンセプト

世界最高を、お届けしたい

メルカリのコンセプト

『家の不用品を売りたいけど、オークションって難しそう…』と思っている人」が、簡単に不用品販売できる

中田敦彦のYouTube大学のコンセプト

「学ぶことに対して敬遠している人」が「学びに興味を持てる」チャンネル

中田敦彦のYouTube大学

ジョブセンス

求人広告を 成功報酬で

商品コンセプト事例

iQOS(アイコス)

「タバコを吸いたいけど周りが気になる人」が、気兼ねなくタバコを吸える

ルンバのコンセプト

「掃除する時間がない人、掃除を面倒くさいと思っている人」が、手間をかけずに掃除できる企画

ウイダーinゼリーのコンセプト

「朝食を食べる時間もない人」が「10秒でしっかりと朝食を摂ることができる」ゼリー飲料

ウィダーinゼリー公式サイト

まとめ

今回はコンセプトの決め方について紹介をさせていただきました。
コンセプト設計を開業をするうえで非常に重要なポイントになります。
その後の立地や物件調査も非常に重要なため、プロと相談をしながらしっかりと決めていきましょう。